目的設定
1-09
業務の流れを掴む
- 状況
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業務改善に向けて、複数の業務担当者にそれぞれが抱えている業務課題についてヒアリングしている。
- 問題
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断片的に業務課題をヒアリングするだけでは、業務の全体像を把握することはできず、業務改善につながらない。
担当者への個別ヒアリングでは部分部分の業務課題しか見えないので、問題の深刻度を相対的に判断できないし、問題同士の依存関係も見えてこないので、どこから手を付けたら良いのかわからない。
各業務プロセスの意味や役割が不明瞭だと、タスクの優先度やタスクの要否が判断できない。特に複数メンバーで対応している業務の場合、全体を俯瞰して理解している人がいない場合もある。
- 解決
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「ヒト」「モノ」「データ」「コミュニケーション」の流れを見える化し、業務全体の流れを把握する。
登場する関係者や「モノ」「データ」を洗い出し、それがどのような流れで受け渡されていくのかを図に描く。「業務フロー図」のようなかたちで【図に描く】(3-23)ことが役立つだろう。その中で、各業務の依存関係や順序、ボトルネックになりそうな部分を特定していく。
業務の流れを把握するために以下のようなポイントを図示してみるのがよい。
・ 現場メンバーの作業は、いつ、どの順番で発生するのか
・ 各メンバーはどんなモノやデータを前の担当から受け取り、次の担当へ受け渡しているのか
・ 関係者同士はいつ、どのような内容をコミュニケーションしているのか
・ 業務の開始と終了の条件は何か業務の流れを把握するときには、細かい作業手順レベルの「詳細」ではなく、「いつ、誰が、何をしている」というレベルの「概要」に注目し、徐々に詳細化していくのがよいだろう。
また、実際の業務中には様々な状況が発生するが、それらをすべて業務フロー図に盛り込むのではなく、業務フロー図では「発生しうる状況の8割方をカバーできればOK」と考えよう。たとえば「担当者Aから担当者Bに収集したデータを渡しているが、担当者Aが病欠している際は、担当者Aの上司が対応しつつ担当者Cがサポートに入る」といった内容は業務フローには盛り込まず、リスクとして把握しておけば十分だろう。
- 結果
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業務の全体の流れを掴むことで、業務課題の根本原因を追求しやすくなる。それによって作業の要・不要を検討し、冗長性をなくして効率化できたり、最適な作業順序を見つけたりできる。
また、全体を見たときに複数の問題が同じ原因に紐付いている可能性があるため、【根本原因の追求】(1-10)もしやすくなる。さらに、こうして業務フロー図を一度作成しておけば、担当者以外に業務内容を説明する際にも便利に使えるだろう。