プロジェクト企画
2-19
データの断捨離
- 状況
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現在利用しているシステムから、kintoneへシステム移行することを決定した。必要な機能や入力データの検討は完了したが、既存システムからのデータ移行についてはこれからだ。移行するデータの範囲は決定していないが、現場からは「とりあえず移行できるデータは移行してほしい」と声が上がっている。
- 問題
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既存システムやそのデータ形式によっては移行ができない、または移行するためのデータ整形に莫大な工数を要する場合がある。
また、「とりあえず移行できるデータは移行する」という判断は、既存システムのデータ構造等をすべて調査し、設計する必要があるため工数の増加につながる。その結果、プロジェクトのコスト増大に繋がり、最悪の場合プロジェクトが頓挫するかもしれない。
- 解決
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システム移行時にはデータの断捨離を考える。
プロジェクト開始時に移行するデータの範囲、およびその役割分担を明確に決めておく。その際、原則として、移行するデータは見直した業務フロー等と照らし合わせて最低限で済むように考慮する。不必要となったデータは、必要に応じて参照用に既存システムを残すことや、アーカイブ化することを検討する。
次の流れで考えるとよい。
1. kintoneのアプリ構成を考える。
2. 既存システムに存在するデータを洗い出す。
3. 2で洗い出したデータを分類し、移行が必要なデータを検討する。
○文字列データ
・マスターデータ
・トランザクションデータ
・コメントのような標準化されていないデータ
○文字列以外のデータ(添付ファイルデータ)
4. 3で検討した移行対象のデータが既存システムから出力できるかを確かめる。
5. 4で確認した出力形式とkintoneのアプリ構成や入力形式(多くの場合CSV形式)を比較し、必要なデータ変換作業を確認する。
※必要に応じて各種APIやkintoneのコマンドラインツール(cli-kintone)の利用を検討する。
※必要に応じて移行が可能 or 容易なようにkintoneのアプリを組み替える。
6. データ移行の方式について検討する。(一括移行にする or 稼働前に一旦移行し、稼働直前に差分移行する等)
- 結果
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あらかじめ関係者間で移行データについて合意しておくことで、後々のトラブルを減らすことができる。また、不要なデータは移行しないという選択を取ることで、移行時に発生する失敗のリスク、データ変換の手間やそれに伴う費用を大幅に抑えられる。