kintone hive

kintone hive vol.3 tokyo
2016.5.26 - kintone hive vol.3 tokyo - 開催レポート

ユーザー同士のアイデア交換の場として開催されているkitnone hive。
vol.3となる今回は、tokyo/osaka の2会場で実施しました。
tokyo 会場ではユーザー事例とkintoneデベロッパーそれぞれ4名が登壇、
開発現場ならではの苦労や運用における工夫など各自の経験が共有できる貴重な場として、
200名を超える多くの参加者にお越しいただきました。
今回はアイデア交換を行って価値を生み出す“Big Hub for Teamwork”というコンセプトを持つ弊社、
日本橋オフィスの中の“Park”と呼ばれるスペースを中心とした設営で、
過去2回とは違う趣向の会場をご用意しました。
そんなkintone hive vol.3 tokyo の模様をレポートします。

01.kintone ユーザー事例

サテライトシェアオフィス
「NewWork」利用料金請求システム

東京急行電鉄株式会社

事例紹介のトップバッターとして登壇したのは、鉄道と不動産事業を中心に展開している東京急行電鉄株式会社 経営企画室の野﨑 大裕氏だ。同社では、シェアオフィスの運営事業として、完全会員制のサテライトシェアオフィス「NewWork」を新たに立ち上げているが、このNewWorkの中で展開している利用料金請求システムの基盤にkintoneを採用している。「提携店も含めてシェアオフィスの利用実績をWeb上で確認する際のインターフェースとしてkintoneを利用しており、蓄積された利用実績をもとに請求書や利用明細の発行も行っています」とkintoneで行っている業務を紹介。入退室情報はAWS上に展開された入退出管理システムと連携し、利用実績をkintoneに取り込むことで利用企業がその状況が確認できるようになっているという。

野﨑 大裕 氏

この請求システムにkintoneを採用した理由については、サービス開始後であっても柔軟に仕様変更が可能なカスタマイズ性をはじめ、安価な構築コスト、自社保有せずに利用できるクラウド、そしてサービスローンチまでの限られた時間の中で構築できるスピード感という4点を挙げた野﨑氏。「撤退する可能性も視野に入れた結果、すべての環境をクラウド上で構築することに決めました」。今後は利用実績の分析や予実管理、提携店との情報共有などのアプリをkintoneで作っていきたいという。実はすでにサービスが開始しているものの、まだ完全に出来上がってない部分もあるというが「サービス開始後もどんどん機能が追加、変更できるのがkintoneの大きな魅力」とkintoneのメリットについて力説した。

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02.kintone ユーザー事例

新しい価値創造への挑戦
~kintoneとだから創れる夢、未来~

ANA成田エアポートサービス株式会社

次に登壇したのは、間もなく出産を迎える大変な時期に参加いただいたANA成田エアポートサービス株式会社 生産管理部生産管理課 長谷川 純子氏だ。成田空港に就航するANA便や外航便などに対するハンドリング事業を通じて、生産管理業務や請求業務を行っている長谷川氏だが、「文系出身でITに詳しくない私でも、kintoneによって請求業務の業務改善ができた」と振り返る。
今回のkintone導入で特徴的なのは「kintoneを用いることで、わずか2か月で開発を行うことができた」というプロセス部分だと長谷川氏。リプレースのきっかけは、スクラッチで構築された旧生産管理システムに課題が多く、「人間がこのシステムを“助けている”状況」に長谷川氏が疑問を持ったことだったが、実は旧システムの更新期限が残り5か月の状態で、短期間でのリプレースが必須の状況だったのだ。そこで新たな仕組みを模索するなかで選ばれたのが、短い納期とコスト、高い保守性のすべてを満たすことができたkintoneだったという。「今は請求業務だけですが、ほかの業務にも拡張できる汎用性も大きな魅力」と長谷川氏。

ただ、実際には現場や経営層などそれぞれが抱く既成概念の壁が立ちふさがることも少なくなかったと当時を振り返るが、kintoneについて丁寧に説明していくことで新たな環境へ乗り換えることができたという。「たとえ失敗しても辞められる、失敗できるというのもkintoneの魅力の1つ」だと長谷川氏。結果として、更新予算に対して40%削減など、定量的な効果を得ることに成功する。最後に「一緒に未来を作っていける、新しい価値を創造された製品です」と長谷川氏はkintoneを高く評価した。

長谷川 純子 氏
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03.kintone ユーザー事例

kintoneを活用した
アカウント自動制御システム

株式会社ディー・エヌ・エー

休憩をはさんで登壇したのは、ゲーム事業を中心にEコマースやスポーツ事業などを展開、アジア・欧米圏など海外への事業展開も行っているDeNA IT戦略部の山本 優三氏だ。事業拡大を続ける同社にあって、圧倒的なスピードで情報システム基盤を整備していくことが求められており、2011年には社内システムのクラウド移行へ大きく舵を切ることになったという。「時期を同じくしてkintoneがリリースされたと記憶していますが、まさに我々のニーズを先読みしたサービスだった」と当時を振り返る。その後、様々な環境をクラウドに移行する中で、2013年には拠点ごとにばらばらだったワークフローシステムをkintoneで統一することに。そして現在は、業務部門が使う様々なアプリがkintoneによって構築されているという。「システム基盤を整備する際には、グローバル規模でスピード感を持って展開できる、かつ誰にでもわかりやすいUIを提供する必要があります。多言語対応はもちろん、APIによる外部システム連携といった、我々の要件を満たしているのが kintone」と山本氏は評価する。

山本 優三 氏

ここで、kintoneと人事システムを連携させて各種申請を行い、その人事システムとアカウント制御システムが連携することで様々な業務システムを有効化するというkintoneの活用例の1つを紹介。特に従業員数の多い同社の場合、素早く迅速にアカウントを発行し、退職時には素早くアカウントを停止するようなセキュアなアカウント運用が不可欠だという。その仕組みをkintoneによって具現化しており、今では入社申請後2時間でアカウントが自動生成され、退職する人のアカウントは退職日の深夜に自動停止するような運用が可能になっている。「kintoneはかなりの可能性を秘めている、使い方は無限大です」と評し、プレゼンを締めくくった。

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04.kintone ユーザー事例

kintone 京王バスでの
入れ方 使い方

京王電鉄バス株式会社

事例紹介の最後として、京王電鉄バス株式会社管理部システム業務推進担当課長の虻川 勝彦氏が登壇し、「情報システムに費用をかけるより人力で何とかしようとする風潮が強かった」と自ら評するバス会社の中で、どのようにkintoneを導入し広めていったかについて語った。同社では過去に個別最適で作られていたシステムが多く、重複した業務も少なくないなど様々な面で課題が多い状況だったという。しかし、さらなる生産性の低下や運用破綻を起こす前に業務改善する必要性があることを訴え、業務改善のプロジェクトをスタートさせたという。その過程でkintoneに出会った。ちょうど警察で遺失物情報のデータ受取りが開始されることに対応するため、パッケージ導入の予算がついていた。その予算を利用して汎用性の高いkintoneを導入することで、全社的な業務改善インフラの構築を提案した。「30日のお試し期間が勝負だと考えました。まずは遺失物アプリが作成できないと始まらない。しかし、わずか2週間で業務プロセスの見直しとデモアプリを作成できました」と振り返る。

導入当初から「重複入力の排除」「最新データの保持」「対応の迅速化」を掲げ、これらを実現し続けることで、現場がシステムに対して持っていたあきらめの意識を期待に変える。期待値向上はアイデアを引出しイノベーションにつながると虻川氏は力説する。また、社内に広めていく過程では「スモールスタートできるkintoneの良さを最大限に活かし、少ないアカウントで多くのアプリを動かして費用対効果を高め、キラーコンテンツ展開時に必要に応じてアカウントを拡張する」とその工夫を披露する。現在ではシステム連携環境も整い、単独アプリ作成で30分、kintone内連携アプリで60分、外部システム連携アプリでも1週間程度で自社作成できるまでになった。添乗評価アプリや指導履歴アプリ等の社内用途アプリの他、取引先と共用するアプリなどの具体例も数多く披露し、「まだ発展途上のツールであるkintoneを、関係者やユーザーの皆さんと一緒に育てていきたい」と締めくくった。

虻川 勝彦 氏
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kintone hack

kintone を扱うデベロッパーによる
ライトニングトーク

 
植草 学 氏
M-SOLUTIONS株式会社
植草 学

新しい SI kintone革命

kintone hive vol.1 でのhackタイムでチャンピオンになり、2年連続でサイボウズアワードを受賞しているM-SOLUTIONS株式会社の植草 学氏が登壇。ロボットのPepperをkintoneで操作するアプリをはじめ、SIerとしてkintoneを絡めた様々なソリューションを提供しており、最近ではファストSIをキーワードにkintoneの定額開発やユーザー開発をバックアップする開発支援サービスも提供している。そんな植草氏が紹介するのが最近の案件トレンドだ。定額開発ののちに開発支援サービスを契約した事例やiPadを利用した工事管理における業務効率化システム、GoogleAppsの予定表と連携しながら複数会社でのノウハウ共有を実現した案件管理システム、わずか1か月で稼働に至った英会話教室における会員管理・報告システムなど、4つの事例をわかりやすく紹介。最後には、社名や案件名などフィールドを選択して検索できるkintone検索拡張プラグインを紹介し、会場に向けて「hiveにかけて、無料配布します!」と太っ腹な一言。植草氏ならではのユーモアが“hiveで配布”する流れをデベロッパー側に作り出し、会場が大いに盛り上がった。

 

kintone 困ったあるある

続いて登壇したのは、昨年のcybozu.com カンファレンスで基調講演に登場したアールスリーインスティテュートの金春 利幸氏だ。SI変革の最前線を走る金春氏は、「kintone困ったあるある」と題してライトニングトークを展開。kintoneを使って様々な企業の業務システムを開発するなかで、“開発アプリから本番アプリへの移行が手間”“開発時にフィールドコードを確認する際に画面の切り替えが面倒くさい”“kintone上のデータをローカルにダウンロードするのが大変、添付ファイルの取得も手間”といった困りごとを解決するための機能を、同社が展開するkintoneアプリケーションの開発支援プラットフォームサービス「gusuku」で提供していることを紹介。具体的には、「アプリの設計のアプリ間での反映」「アプリ設計情報のエクセル出力」「大容量添付ファイルを安価に提供」「エクセル帳票の出力」などだ。前に登壇した植草氏の流れを受けて「hiveで特典をご提供、“hiveで配布”します」と最後に宣言し、会場からは大きな拍手が巻き起こった。

金春 利幸 氏
アールスリーインスティテュート
金春 利幸
 
寺林 尚樹 氏
株式会社ソウルウェア
寺林 尚樹

現場のためのkintone UI

“kintoneの画面開発を手掛けたら日本一”と呼び声の高い株式会社ソウルウェアの寺林 尚樹氏が登場。「ゴリゴリにUIをカスタマイズするのが得意」と寺林氏が語る通り、“ドラッグ&ドロップでスケジュール管理” “サブテーブルをインライン編集”“アップロードしたPDFファイルを直接編集”といった、kintoneらしからぬUIを紹介した。また、iPad上でkintoneを利用して施工計画を入力している、とある建設現場の事例を紹介。この現場では、入力フィールドが移動するたびにキーボードがアルファベットに戻ってしまい、タブレットに慣れていない作業員が混乱してしまうという課題があったという。そこで、バーチャルテンキーを個別に開発して実装することで、UI的な課題を解決したという。最後に、同社が開発したドラッグ&ドロップで簡単にPDF帳票の設定ができる「RepotoneU」や今回新たに開発したエクセル帳票の簡単設定「RepotoneU Excel」を紹介したうえで、期間限定の割引特典を急きょ決定した寺林氏。“hiveで配布”の流れを何とか堅持したことで会場も盛り上がりを見せていた。

 

ここまでできるkintoneカスタマイズ事例

kintone hack最後を締めるのは、ミスターkintoneこと株式会社ジョイゾーの四宮靖隆氏だ。kintoneを活用して多くの企業の業務アプリを手掛けている四宮氏。その中で今回は三菱ふそうトラック・バス株式会社の事例を紹介した。具体的な業務フローは、訪問先顧客の抽出から予定の登録、その結果と整備車両の登録、そして整備車両の入庫・出庫処理を行うというもので、実際に動く画面を会場で披露した。ボタンを1つ押すだけで訪問すべき時期に来た顧客の情報を抽出し、色分けして抽出した顧客を表示するなど、シンプルな操作で必要な情報にすぐアクセスできる環境を作り上げることに成功している。

株式会社ジョイゾー

「iPadで操作することを前提に、本来であれば開発期間6ヶ月はかかるところを実質2ヶ月で使いやすいUIをkintoneだけで作り上げた」と四宮氏。そして最後に、kintone hack恒例となった「kintoneデヂエ化プラグイン」第三弾として、四宮氏はkintoneの一覧画面上で値の変換が行える「レコード一括更新プラグイン」を紹介した。これまでの流れを踏襲し、無償での“hiveで配布”を決定した。

四宮 靖隆 氏
株式会社ジョイゾー
四宮 靖隆

kintone hive閉演後には、ユーザー企業を代表して
三井化学株式会社 松田 正太郎氏が乾杯の発声を行った後、懇親会がスタート。

懇親会の会場内の横にあるテーブルエリアでは、サイボウズメンバーに直接相談できる場が用意され、
ビール瓶を片手にパソコンを見ながら真剣に相談しているユーザーの姿も数多く見られた。

また、kintone広告に関する情報や、翌日に開催された
エンジニアの宴「kintone devCamp」の紹介などのライトニングトークも実施。

登壇者の周りだけでなく、ユーザー同士の交流が積極的に行われており、
株式会社星野リゾート 久本氏の中締め挨拶が行われ、大盛況の中で懇親会が終了した。

ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。次回は Cybozu Days で開催予定です。お楽しみに