パターン実践ガイド

ワークフローとして利用する場合の設計

はじめに

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当ガイドは、「プロセスのシンプル化」パターンとあわせてご利用ください。

kintone では複数のユーザーでレコードの編集や確認をするためのプロセスを設定できます。
プロセス管理機能を利用することで申請の承認や稟議の決裁をアプリで管理して、ワークフローのように使うことも可能です。
しかしながら、kintone はワークフロー専用ツールではないため、専用ツールで実現できることの一部は kintone だけでは実現が困難なケースがあります。
ここでは大きく 3 つのケースに分け、kintone で実現するワークフローについて記載します。

(※この記事は2021年11月1日時点のkintoneをもとに執筆しています。)

想定読者

IT 部門・現場部門の方向け

内容

下記 3 つの構成におけるメリット・デメリットを記載しています。
・基本機能のみ
・プラグイン/カスタマイズの併用
・ワークフロー専用システムとの連携

基本機能のみ

もっともシンプルな構成で kintone の基本機能のみを利用して実現する方法です。

基本機能のみ

経路の設定では各プロセスごとに承認者を固定で指定する方法や、cybozu.com 共通管理のカスタマイズ項目を利用することで、ユーザーに紐づく上司等を指定する方法(参照)、またはユーザー選択フィールドを利用を用いてレコードごとに個別で指定する方法があります。また、よく利用される方法として、経路マスタを作成した上でルックアップ機能により、申請レコードのユーザー選択フィールドにマスタの経路情報をコピーする方法があります。(参照)

実現できる承認系の機能としては、申請、承認、拒否等のアクション、およびレコードの値に応じた条件分岐設定が可能です。

また、kintone の他の機能と組み合わせることで申請レコードの権限制御やリマインダー機能、コメント機能、過去申請レコードの参照や再利用が可能です。

基本機能のみで実装する大きなメリットとしては、費用が kintone のみで収まる点でしょう。上記で記載した kintone の他の基本機能と組み合わせて利用できる点もメリットになると考えられます。

注意点としては、利用組織が大きく、複雑になるにつれてユーザー情報や経路マスタ等の設定が煩雑になりうる点です。また「申請の取り戻し」機能のような一部のワークフロー製品では備えている機能を実現できません。

プラグイン / カスタマイズの併用

ベースは kintone のプロセス管理機能を利用しながら、一部の足りない機能をプラグインや個別カスタマイズで補う方法です。

プラグイン カスタマイズの併用

よく検討されるカスタマイズとしては次のようなものがあります。

  • 経路設定
    • 申請内容や申請者に応じた自動設定
  • 承認機能
    • キャンセル
    • 一括承認
  • その他
    • ステップに応じた入力制御
    • 起票、承認時の自動採番
    • 申請アプリを跨ぐ全申請の一覧確認

この構成では「基本機能のみ」で記載した kintone の他の基本機能との組み合わせのメリットをそのまま引き継いで利用できる点が大きな魅力です。自動採番や入力制御のカスタマイズはすでにプラグインとして提供されているものもあるため、プロセス管理だけでなく kintone 全体でそのプラグインの機能を利用できる点もメリットになります。

一方、必要な追加機能が多く個別のカスタマイズが大規模に発生する場合はコストが増加し、場合によっては次項に記載の外部ツールを導入したケースのほうが安価に抑えられる可能性があります。また、個別カスタマイズで実装できる機能についても限界があります。基本機能では実現ができないような操作、たとえばあらかじめ設定された経路を無視するようなプロセスの進め方等は実現ができません。

ワークフロー専用システムとの連携

最後は「餅は餅屋」としてワークフローの機能はワークフロー専用システムにお任せする方法です。
しかしながら kintone の出る幕がないわけではありません。

ワークフロー専用システムとの連携

よくある構成例としては、たとえば「顧客情報等の申請時に必要なマスタデータは kintone で管理し、ワークフローシステムからそのデータを参照することで入力補助とする」といったケースや、「もととなる申請データは kinotne で作成し、ワークフローシステムへ連携、その後承認結果のデータを再度 kintone に返すことで、kitnone 上での分析や他のデータとの一元管理の実現を可能にする」といったケースがあります。具体的には、顧客管理や案件管理は kintone で実施した上で、見積についてはワークフローシステム側で承認を取るケースが想定されます。

大きなメリットとしては、ワークフローシステムが有するさまざまな申請に対応できる機能がそのまま活用できる点です。たとえば「自動承認」や「代理申請/代理承認」「議決承認」といった機能はカスタマイズで実現するにはやや困難ですが、多くのワークフローシステムは基本機能として有しています。

一方で、kintone との連携を前提にした場合は、それぞれの費用だけでなくデータ連携やユーザー同期等の部分での追加費用が発生するため費用は大きくなります。また、扱うシステムの数が増えることにより、管理者の管理コストや利用者が使いこなせるまでに要する時間等も大きくなる点は考慮が必要です。

おわりに

現状の承認業務から何を改善すべきなのかを明確にし、それが kintone のプロセス管理機能で改善できるのかを検討しましょう。
その際、【プロセスのシンプル化】(3-25)のパターンが参考になります。
その上でプロセス管理機能はいわゆるワークフローシステムとイコールではないことを念頭に、利用するユーザーや組織の範囲、必要な承認機能、導入後のメンテナンス性、費用を加味して構成を決定しましょう。

まとめ表

kintone ワークフロー
専用システムとの連携(※)
基本機能のみ   ワークフロー
専用システムとの連携
プラグイン/カスタマイズの併用
経路設定
  • ユーザーの直接指定
  • cybozu.com共通管理のカスタマイズ項目利用
  • ユーザー選択系のフィールド利用
  • 申請フローアプリの利用
カスタマイズ例
  • 申請内容や申請者に応じた自動設定
カスタマイズでは実現が難しい機能例
  • 申請内容や申請者に応じた複雑な自動設定
承認機能
  • 申請 / 承認(全員 or 誰か1人) / 差し戻し/ 却下
  • 条件分岐
カスタマイズ例
  • 一括承認
  • 代理申請 / 代理承認
  • 自動承認
カスタマイズでは実現が難しい機能例
  • 引き上げ承認
  • 取り戻し
  • 議決承認
その他
  • 申請レコードの権限制御
  • リマインダー機能
  • コメント機能
  • 過去申請の参照や再利用
カスタマイズ例
  • ステップ(プロセス)に応じた入力制御
  • 承認履歴のデータ出力
  • 承認データの帳票出力
  • 起票、承認時の自動採番
  • 申請アプリを跨ぐ全申請の一覧確認
メリット
  • ランニング費用がkintoneのみで収まる
  • レコードのコメント欄やアクセス権、リマインダー機能等のkintoneの機能を活用したまま利用ができる
  • 設定変更時もkintoneの設定変更のみで対応できる
  • kintoneのユーザー情報が利用できる
  • 後からプラグインやカスタマイズを追加することが比較的容易
  • 必要な機能を後から付け足すことができる
  • レコードのコメント欄やアクセス権、リマインダー機能等のkintoneの機能を活用したまま利用ができる
  • kintoneのユーザー情報が利用できる
  • kintoneのプロセス管理機能では実現できない機能を一括で利用でき、申請フローも柔軟に設定ができる
注意点
  • ワークフロー専用システムと機能を比較すると足りない部分がある
  • 必要な追加機能が多い場合、ワークフロー専用システムを導入したほうが費用が下がる可能性がある
  • 費用が大きくなるケースが多い
  • ユーザー情報の同期や、連携設定等が別途必要になる
  • 複数システムを運用することによる管理や利用の煩雑さが発生しうる
想定される利用ケース
  • 利用範囲が特定業務や特定部署内で、承認経路がある程度固定化されているケース
  • 複雑な承認フローや多様な承認機能(一括承認や代理承認等)を必要としないケース
  • 既にkintoneを利用している等、費用をできるだけ抑えたいケース
  • 他用途にもkintoneを利用しており、そちらで管理しているデータとの紐付けや、基本機能の組み合わせが業務改善につながるケース
  • 新規でワークフロー専用システムを導入する費用よりもこちらの構成のほうが費用を抑えられるケース
  • 柔軟な承認経路の設定や、様々な承認機能等を持ついわゆワークフロー専用システムを導入することで業務改善につながるケース

(※)ワークフロー専用システム側の機能は、利用するサービスごとに異なるため、詳細は利用するサービスの仕様をご確認ください。