続いて登壇したのは、京都で賃貸7,000室・マンスリーマンション300室を管理する不動産管理会社、株式会社 フラットエージェンシーの中川氏。
同氏からの活用アイデアは、既存Excelとkintoneを連携し、使い方はそのままに格段に効率を上げる方法である。
既存Excelはガントチャートのような見た目になっており、視覚的に空き部屋を確認できて便利な半面、最新情報が閲覧できず、月が変わると移行作業が大変などの効率の悪さがあった。
そこで、kintoneとExcelのどちらからも入力でき、データはkintoneのみに保存されるようシステムを連携。Excelの使い勝手は生かしながら、作業ミスを減らすことに成功した。
さらには、マンスリーマンションの申込みフォームとkintoneを連携し、利用者情報の入力業務と費用明細書を作る業務も自動化した。「退去後の部屋の状況を報告するkintoneアプリ」も加わり、清掃を行なう60代〜70代の巡回スタッフがタブレットを使って写真で報告できる仕組みで、部屋の回転率も上昇したという。
中川氏は、1つ成功例ができるとkintoneは社内に拡散していくと話す。同社ではAccess連携にも成功し、登壇時は勘定奉行 i8との連携に取り組んでいるとのことだった。「外見は別システムだが、中身はkintone」という魔法の組み合わせは、日本中の効率の悪さを消し去り業績を向上させる可能性に満ちていた。

最後は、先に開催されたkintone hive東京で紹介され大好評だった、東京急行電鉄株式会社の新規事業「NewWork」の事例。登壇は永塚氏。同氏からのアイデアは、無人運営のシェアオフィスを支える業務システムと、それを可能にした対面開発について。
「NewWork」は、人材流出抑制・執務環境の確保・BCP対策が同時にできると注目を集める法人向けのシェアオフィスサービスだ。拠点は全国40箇所。会員はどの拠点にもICカードで出入りでき、利用時間に応じて料金を支払う。このオフィスを無人運営するために開発されたのがkintoneを活用した入退室管理および請求書自動発行システムだ。
このシステムの優れたところは利用企業が社員の入退室記録をいつでもブラウザから確認できること。在宅勤務や有人シェアオフィスでは自己申告となる勤怠管理を「出社と同じ正確さ」で実現した。これが受け短期間で20,000人分のカードが発行されたという。
そんな同社がkintoneを選んだ理由は、「対面開発」により短期間でシステム構築ができること・後々もカスタマイズできること・低コストの３つだ。対面開発とは仕様書を作らず、要望を聞きながら目の前で開発していく新しい手法である。おかげで大手のデベロッパーに比べて開発期間が大幅に短縮でき、時間が無いなかでスケジュールを守れ、コストも数分の一にできた。
永塚氏は「ITとは無縁の自分が、希望を話すと目の前でシステムができあがっていき、心から嬉しかった。『NewWork』が無人で運営できるのはkintoneの対面開発おかげ」と力強く話す。 
この成功を受け、同社は2017年夏に運航開始となる伊豆観光列車ザ・ロイヤルエクスプレスの予約システムにもkintoneを採用。これらのエピソードはBtoCビジネスにおけるkintoneの可能性を感じさせてくれた。