kintone ユーザー事例 SHOWCASE
01 Showcase
高額取引に伴う
キャッシュフロー管理
受注と発注を紐づけ
正確な利益を把握
上海太瑶自動化科技有限公司
タイヨーアクリス上海
- 総経理
- 加藤 康寛 氏
事例セッショントップを飾ったのは、精密金型やプレス加工、自動機の設計・開発・製造を展開するタイヨーアクリス(本社・京都)の中国法人・上海太瑶自動化科技有限公司の加藤康寛氏だ。自社工場を持たないファブレスメーカーとして中国で独自の生産ネットワークを構築し、日本で培った高い技術力を持つ技術者を各協力会社に常駐させ、中国国内の顧客に製品を供給する体制を築いている。社員7名が上海を中心に各地を飛び回る日々において、kintoneが各自の活動に関する情報を集約して管理するプラットフォームになっている。「それぞれの商談内容や顧客情報、案件情報や見積り金額など販売に関わる情報はkintoneで管理しています」。販売管理をはじめ、社内の情報は全てkintoneで共有している。
特に主力事業の一つである自動機は高価なもので100万元を超える取引になるため、自社のキャッシュフローが回るように受注と発注の情報を関連付け、案件毎の利益を把握し、入金と支出を予測する上でkintoneが欠かせないという。「受注管理と発注管理で対になる案件を”紐付けキー”で関連付けることによって正確な利益の把握と的確かつ迅速な経営判断が実現できます」と独自の工夫を紹介。ではなぜ、kintoneを採用したのか。加藤氏はエクセルや他のパッケージソフトと比較して「アカウント単位の課金で適切な投資が可能な価格」「エクセルよりも簡単かつ直感的にカスタマイズができる機能」そして「ブラウザさえあればいつでもどこでも作業でき、かつ最新の情報が共有できるクラウド」の3つの利点を挙げた。
02 Showcase
中国で急拡大する組織
の成長を支える
状況に応じて柔軟に変
更できる仕組み
好侍食品(中国)投資有限公司
ハウス食品(中国)投資社
- 販売企画部 部長
- 山岸 大地 氏
続いて登壇したハウス食品の中国法人・好侍食品(中国)投資有限公司の山岸大地氏は、中国の伝統衣装を身にまとって登場。「カレーライスを人民食に」をスローガンに掲げ、現在は中国でグループ会社6社を抱え、全国12都市に営業所を構える大所帯だ。「2011年当時の私の管理範囲は4都市でスタッフ8名だったのに対して、昨年は11都市で50名強まで拡大した」。その事業拡大に伴う急激な組織拡大と人員増加はマネジメントの課題も浮き彫りにしたという。特に内陸部や2級3級都市では事務所を設けず、各スタッフは在宅勤務。「散在するつぎはぎ状態の顧客情報を集約して管理することが急務だった」とkintone導入を振り返る。しかし、慣れない入力作業や情報共有に対して中国人スタッフの反発は想像以上だったという。
そこで山岸氏は、会社の意思として徹底してkintone活用による利点を説明し、定例会議で各部門の使用率をマネージャーに共有する一方、「顧客マスタの登録は現場が直接行わずに専任部門が担当することで情報の正確性を担保して定着化を図ってきた」と導入後の工夫を披露。運用開始から5ヵ月経った今では、販売店舗を巡回するスタッフの訪店記録の入力率は8割を超えるまでに定着したという。さらにユニークな利用方法として店頭での試食手配申請を紹介。営業部門から申請があると販売企画部門が確認し、その内容は外部の販売促進会社とkintone上で共有され、店頭に適切なスキルを持つマネキン販売員を派遣する仕組みだ。「限られた期間でシステムを構築できるスピードと、サービス開始後も状況の変化に合わせて柔軟に仕様を変更できる点が魅力」と山岸氏はkintoneを評価し、「パソコンが苦手な中国人スタッフの一人が”kintoneを導入して便利になった”と言ってくれた時は本当に嬉しかった」と笑顔で締めくくった。
03 Showcase
サイボウズはどのよう
に使っているか
自社運用の試行錯誤を
赤裸々に披露
才望子信息技術(上海)有限公司
サイボウズ上海
- 副部長
- 伊東 大輔 氏
3社目の事例は、サイボウズの中国法人である才望子信息技術(上海)有限公司から伊東大輔が、「サイボウズはkintoneをどのように活用しているのか」という多くのユーザーからの声に答えるべく満を持して登壇。中国でkintoneを販売するにあたってテストマーケティングを開始した2012年当時から、190社近くまで導入社数が増えた現在まで、いかに自社内で運用するか試行錯誤した生々しい体験を披露した。最初はシンプルに顧客、商談、日報の3つのアプリだけで、データを入力してもらうために2つの工夫を施した。一つは「顧客マスタを入れないと商談報告ができない仕組みにする」。そして、もう一つが「とにかくkintone上でマネージャーがコメントを書き続ける」。「それを毎日毎日続ける。すると、他の部員がマネージャーとどのようなコミュニケーションをとっているのか気になり、kintoneを見る習慣ができてきました」
日々のコミュニケーションがkintone上で図れ、必然的に顧客マスタが出来上がる。2013年6月にkintoneを中国で正式にリリースする頃には社内でそうした運用が定着した。次に考えたのが、営業部員の入力負荷をいかに軽減するかだ。商談アプリで入力した最新の情報が案件アプリの項目に自動更新されるようにすることで、二重入力や入力ミスによる修正の手間を大幅に改善。「案件アプリの情報が常に最新の状況なので、それまで別に提出していた週報をこの段階で廃止しました」と伊東はその効果を伝えた。ガルーンも含め、導入社数が500社を突破した以降は、直近の契約更新が完了したら次年度の更新情報が自動で出てくるなど、サポート部門の業務効率化を図り、全社で本業に専念できる体制を作っているという。「kintoneは組織とともに変化して成長できるツール。最初から完璧を目指さず、試行錯誤しながら効果を出すことが大事」と自社の事例プレゼンを締めくくった。
04 Showcase
楽しさを演出して情報
登録を促す工夫
日本本社も巻き込みフ
ァンを増やす
霧的池内 (上海) 貿易有限公司
霧のいけうち
- 総経理
- 竹内 大輔 氏
トリを飾ったのは、スプレーノズルの提案販売と霧の特性を利用した課題解決のソリューションを提供する霧的池内 (上海) 貿易有限公司(霧のいけうち)から竹内大輔氏。いまや、kintoneに80個近くのアプリを持つ自他ともに認めるkintoneヘビーユーザーだ。そんな竹内氏がkintoneを社内で定着させるコツとして披露したのが、「楽しさを演出すること」。「中国人社員はSNSが大好き。それを利用しない手はない」と、kintoneで実装できる「いいねボタン」を活用して、”イイネ!!獲得ラインキング”を毎月発表している。「いいねボタンやコメントで、登録された報告に対してとにかくフィードバックする」。楽しさの演出でkintoneへの登録を促す一方、日報が登録されないと交通費を支給しないなど、経費申請をはじめ、人事考課といった仕組みと連動する「トップダウンで変える」ことの重要性も付け加えた。
2001年の上海事務所開設以来、徐々に拠点や人員が増加する中で社内での情報の共有や蓄積が難しくなり、頭を抱えていたという竹内氏。kintone導入後も社員からの反発も少なくなかったが、「営業部員の退職後、kintoneに蓄積された顧客情報が業務の引き継ぎに大きな効果を発揮した」と、その利便性が社内に認められたきっかけを語った。竹内氏は日本本社と中国法人の定型業務にもkintoneを取り入れた。「最初は本社メンバーから拒絶。でも中国側のスタッフが”こんなに便利なkintoneを利用しないなんて”と根気よく説得して本社でも導入することに。今では”他の業務もアプリにできないか”と本社メンバーからリクエストがあるほどです」と、日中でのkintoneへの評価の高さを力説した。
kintone hack kintoneを扱うデベロッパーによるライトニングトーク
使い慣れたエクセルに簡単に自動転記
kintone hackのトップバッターは中国で販売管理や在庫管理、生産管理などの業務システムの構築・保守を手掛ける上海人雨而系統技術軟件有限公司(上海レンユアー)から松村稔氏が登壇。上海で18年間にわたり日系企業を中心にシステムによる業務効率化を支援してきた経験から、kintone上で動く販売在庫管理システム「ERP-mini」を紹介した。「ERP-mini」は受注、発注、在庫管理の一連業務のシステム化に特化したシンプルな仕組みのサービスであり、kintoneで入力したデータをボタン一つでエクセル伝票に自動転記させることもできる。複数の倉庫の在庫をシステムで統一管理するパターンや、出荷売上・財務売上の比較照合が必要なパターンなど実際の事例を交えながら活用方法を紹介した。また、kintoneのヘビーユーザーならではともいえる画面の表示の一工夫も紹介。「管理する情報をkintoneに集約すればするほど、その項目が多くなり、画面の縦スクロールが長くなります。縦スクロールに対しては、項目グループ毎にタブに分けて表示、逆に横スクロールが長くなった場合は使用頻度の高い列を固定する方法がオススメです」と業務効率化する工夫を語った。
kintoneのデータを「見たいカタチ」に
続けて登壇したのは、日本で5,000社を超える導入を誇るBIツール「Dr.SUM EA」や情報活用ダッシュボード「MotionBoard」を中国で展開する文雅科信息技術(上海)有限公司(ウイングアーク上海)で技術部総監を務める溝渕全人氏だ。溝渕氏からは「レポート作成業務の効率化」と「kintone上のデータをより価値あるものに」と題して、クラウドサービスのダッシュボード「MotionBoard Cloud」との連携事例が披露された。kintoneで管理する様々な情報や社内データベースを組み合わせ、レポート作成の自動化を実現できる。個別のプログラミングが不要で簡単な画面設計だけで、kintoneに集約されたリアルタイムな数値で集計したレポートが生成が可能だ。また、具体的なサンプル画面とともにkintone上のデータをMotionBoard Cloudの表現力の高いグラフで「見たいカタチ」に可視化したものを紹介した。過去データとの比較も容易にできる。「kintoneに登録されたデータから次のアクションに導く新たな気づきを提供できます。インプットのkintoneとアウトプットのMotionBoard Cloudは相性が抜群」と溝渕氏は両社の連携によるメリットを強調した。
帳票印刷も連携サービスで解決
kintone hackの3人目に登壇した上海天進網絡技術有限公司(天進ネットワーク)の川岸雄馬氏。上海と北京に拠点を構える天進ネットワークはオフィスの内装からOA機器、ネットワーク構築・保守に加え、サイボウズ中国のパートナーとして日系企業を中心に多数のkintoneの導入実績を誇る。川岸氏が紹介したのが、kintone連携サービス「プリントクリエイター」だ。プリントクリエイターはkintoneアプリに登録されたデータを予め設定したフォームできれいに帳票印刷できる連携サービスだ。川岸氏は、kintoneに情報を登録していても帳票(見積書、請求書、申請書など)は結局ExcelやWordに転記し作成しているケースも少なくないと指摘した。「クライアントに提出する報告書や、見積書や請求書、契約書、発注書などkintoneで管理するデータであれば、簡単に帳票印刷できます。」マウス操作で簡単にレイアウト作成ができ、出力枚数やレイアウト数、利用人数の制限がない定額制のため、「使えば、使うほどコストパフォーマンスが高まります」と川岸氏は強調、連携サービスを活用することによる一層の業務効率化のメリットを伝えた。
ウィチャット連携で広がるkintone活用
天進ネットワークの北京拠点でサイボウズ中国のパートナーとしてkintoneの販売を手掛ける宮崎氏が紹介したのは、いまや中国の生活に欠かすことのできないアプリ「微信(ウィチャット)」とkintoneの連携だ。社内のみならず、関連会社ともウィチャットで連絡するケースが多い中国だが、「kintoneと連携すれば、メッセージだけでなく、写真や音声も全て情報としてkintoneに蓄積できる」と宮崎氏はログ管理の機能を紹介。また、kintoneに登録した情報をウィチャットに配信できるため、kintoneを利用していないスタッフや特定の担当者や部門へ確実に情報を伝える手段としても活用できる。ウィチャットには業務管理用で利用する企業アカウントがあるが、入力画面や管理機能は個別に開発しなければならない。しかし、宮崎氏は「kintoneと連携すれば、開発工数を減らし、短期間で安価に導入でき、しかも社内のデータベースを外部公開する必要もないのでセキュリティも担保できる」と強調。店舗を巡回するラウンダーからの在庫や陳列状況などの報告や、展示会やセミナーでのアンケート、e-ラーニングなどkintoneとウィチャット連携の活用の可能性は無限であると締め括った。
プラグインの活用で、もっと便利に
kintone hackの最後を締め括ったのは、今回のkintone hive上海のために日本から駆け付けたジョイゾーの四宮靖隆氏だ。kintoneエバンジェリストでもある四宮氏率いるジョイゾーは、kintoneを活用した業務アプリを多数手掛けており、自身はミスターkintoneの異名をとる。その四宮氏が上海のユーザーに紹介したのはkintoneの機能を拡張する追加プログラム、kintoneプラグインだ。例えば、タブレットから手書き入力した情報をkintoneに保存できる「手書きプラグイン」は、客先で作業報告書にサインして頂いた手書きの署名がそのままkintoneで管理できる。続けて、kintoneのデータベースから絞り込んだ一覧画面上で特定の値の変更が一括で実行できる「レコード一括更新プラグイン」を紹介。一旦CSVに吐き出して変更作業する手間が省け、「例えば、営業担当者が変わったら、該当する担当者をソートしてその部分を一括で変更が可能」と、そのメリットを伝えた。プラグインは管理画面から自社で設定でき、個別開発の必要がないのが大きな利点。「無料で提供しているプラグインもあるので是非活用してほしい」と力強いメッセージを送った。
ご来場の皆さまの声 VOICE
kintoneの活用方法だけでなく、導入時の苦労話や工夫点、
中国ならではの悩みをユーザー同士で共有できたことで、ご来場いただいたみなさまに大変ご好評いただきました。
そして、海を越えて開催したkintone hive 上海は大盛況のうちに幕を閉じました。
- 非常に参考になる。導入事例ありがとうございます。活用法のアイディアが浮かんだ。次回も参加したいと思っています。
- 他社の使い方だけではなく、特に苦労点を色々聞けて良いと感じた。
- 日本本社でのグループウェア導入検討でとても参考になりました。
- 他社の導入事例が大変参考になります。課題点改善点が明確になります。
- 他社の取組、経緯などが教諭でき非常に参考になりました。当社内でkintoneの利用率をあげれるよう取り組みたいと思います。
- kintoneでどのような事ができるのか参考になった。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!
次回の kintone hive もお楽しみに