kintone hive
開催レポート
2015.5.22

2015年5月22日に六本木アカデミーヒルズにて
開催されたkintoneユーザー会「kintone hive」。

日頃から業務の中でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、
kintoneプロジェクト成功の秘訣や活用のコツをそれぞれの視点で解説、
貴重なノウハウや知見を披露する有益な交流の場となりました。

11名の登壇者が語ったkintoneへの熱い思いもあわせて、
第一回目となるkintone hiveの模様をレポートします。

kintone hive風景
01 kintoneユーザー事例

「バックエンド速効システム化」
〜大統領ボタン構想〜

会社登記後すぐにバックエンドシステムが提供できる環境を整備

内部監査室という肩書きながら、事業の中に入り込んで課題を自ら解決することをミッションに掲げている株式会社サイバーエージェント 鹿倉 良太氏。わずか半年の間に15社もの子会社が立ち上がるほど様々な事業が産声を上げている同社では「受注管理や請求管理などバックエンドの仕組みに長年Excelを活用し続けてきました」と以前の状況を振り返る。しかし、Excelは万能であるが故にガバナンスが効かない場面もあり、新たにkintoneを活用して事業の運営に必要なバックエンドのシステムを構築することを決断。「結果として、2営業日ほど月次決算の早期化が可能になり、新たな事業が立ち上がる前にガバナンスの効いた形でバックエンドシステムが提供できるようになりました」とkintoneを高く評価する鹿倉氏。現在は与信管理機能や債権管理、登記情報管理、リスク情報管理など様々なアプリケーションをkintoneで構築している状況だ。今後はバックエンド業務をフロントにオーバラップしていくことで「不正の入り込む余地がない仕組み」作りを目指しながら、将来は単体から連結決算まで一気に処理が自動化される「大統領ボタン構想」を計画しており、kintoneがその中核を担っていくと鹿倉氏は力説した。

株式会社サイバーエージェント 内部監査室 鹿倉 良太氏

株式会社サイバーエージェント
内部監査室 鹿倉 良太氏

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02 kintoneユーザー事例

kintoneが作り出す
「個と集団、場」の形成とは?

組織の進歩に応じてカスタマイズ、場を作り出す力が魅力

続いて登壇したのは、障害のある児童の自宅に出向いてリハビリをサポートする訪問看護や施設でリハビリを通じて成長発達を促す児童デイ事業などを手掛ける株式会社関西の青山 敬三郎氏。「かつては情報共有することにお金を払うのに抵抗があった」と語る通り、メンバー同士の情報共有にメールや電話を利用していたと当時を振り返る。しかし、作業工程の最適化を計るためにkintoneを導入し、場所や時間を問わず情報共有できる環境を整備、その結果50%ほどの作業工程を削減することができたという。しかも、kintoneアカウントをすべての顧客に提供することで、写真を交えた日常の様子などが関係者全員で円滑に共有され、安心感や自己受容、自己確立へと繋がる“人の集まり”へと発展させることに成功。「人」と「場(トポス)」によって生み出される集団をkintoneによって作り上げている。kintoneの魅力については「分析によって作業をカスタマイズしていく力を持っており、さらに場としてのトポスを生み出す力、そしてタスク自体をアジャイルで構築していくなど組織の進歩に合わせて仕組みを作り上げていく力を持ったツールです」と青山氏。kintoneの可能性については、システムを超えて日本の福祉を世界に向けて発信できるツールだと力強く語っていただいた。

株式会社関西 (青竹のふし) 代表取締役 青山 敬三郎 氏

株式会社関西 (青竹のふし)
代表取締役 青山 敬三郎氏

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03 kintoneユーザー事例

元サイボウズ社員が転職して
kintoneの導入・運用してみて思った5つのこと

入社後4日目にしてkintone運用開始!想像以上のスピード感

昨年までkintoneのエバンジェリストを勤めていた田村 悠揮氏が登壇し、転職先である実名型グルメサービス「Retty」を運営しているRetty株式会社で実際にkintoneを導入・運用を経験、その過程で改めて感じた5つのことについて披露した。これまでスプレッドシートを使って運用されてきた管理ツールを見直し、kintoneでアプリを作成しているが、最初に田村氏が感じたのは、その驚くべき展開の速さだという。「入社2日目に発注し、3日目にアプリ作成とデータ移行、そして4日目には現場へ説明し、すぐに運用を開始したほど」と語る通り、圧倒的なスピード感を持ったツールだということだ。また、活用を促すためには「業務ごとにスペース(場)を設置し活用すること」や「一人で面倒を見ることが難しくなる前に、社内にkintoneマスターを増やすべき」といった提言も。kintoneの柔軟性を損なうことのないカスタマイズの方法など「困ったらノウハウを持っているパートナーに相談して欲しい」と語り、社内外に頼れるパートナーを作るべきだという持論を展開した。また「ユーザーごとにデフォルトビューが欲しい」など、会場にいるユーザーの思いを代弁する意見もあり、自身の結婚式前日という多忙な中であっても、元エバンジェリストらしい軽妙なトークで会場を湧かせていた。

Retty株式会社 シニアビジネスプロデューサー 田村 悠揮氏

Retty株式会社
シニアビジネスプロデューサー
田村 悠揮氏

04 kintoneユーザー事例

kintoneが可能にする
「ブロック+紙ねんど」スタイルの開発

成功の鍵はkintoneプロジェクトの進め方にあり

主力事業である印鑑・はんこのオンライン通販ショップ「ハンコヤドットコム」において、バックエンド業務のプロセスをkintoneで構築した株式会社AmidAの大田 基樹氏が登壇。「社内システムのリニューアルが頓挫してしまったことで、低予算で短期間にリリースできる仕組みが求められました。絶対に失敗できないプロジェクトだったのです」とその導入のきっかけを語る。そこで新たな仕組みとして大田氏が選んだのが、前職でも実績のあったkintoneだった。結果として初期バージョンをわずか1ヶ月半でリリースし、現場とのギャップもなく開発工数の削減にも大きく役立ったという。成功の鍵としては“プロジェクトの進め方”だと大田氏は分析するが、具体的には「プロトタイピングでギャップを解消」「使えるものを先に作ってリリースするスクラム型のプロジェクト管理」「修正を前提に現場から承認をもらうことでリリースと修正を繰り返す」というものだ。また、フルスクラッチによる開発プロジェクトの失敗経験を経て「フルスクラッチ(紙ねんど)の利点を活かしながら、kintoneのようなミドルウェア(ブロック)を効果的に利用することが重要」と大田氏は語る。また、kintoneのアプリストアなど利用できるものはできる限り使いながら、「完璧を目指さず”やってみなはれ“の精神を持ってスタートするべき。作り替えることも念頭に置きながら、データ移行などについても意識して欲しい」と現場ならではの視点も。隠れた成功の鍵は「部門ごとに管理者を作ること」とその秘訣を明かしてくれた。

株式会社AmidA マーケティング事業部 副部長 大田 基樹 氏

株式会社AmidA
マーケティング事業部 副部長
大田 基樹氏

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05 kintone hack - kintone を扱うデベロッパーによるライトニングトーク

株式会社ジョイゾー 代表取締役社長 四宮 靖隆氏

株式会社ジョイゾー
代表取締役社長
四宮 靖隆氏

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サイボウズ公認エバンジェリストの1人としてkintoneの普及活動を行っている"ミスターkintone”こと四宮 靖隆氏。kintoneを基盤とした定額のシステム開発サービス「システム39」など自社のビジネスを紹介したのち、ヒストグラムなどを使って月謝管理や生徒の成績管理などビジュアルに表示する学習塾の事例や、営業支援ツールとしてkintoneを活用しているトラック会社の事例を紹介。データ自体はkintoneで管理しているものの、リストビューやカレンダー形式の画面をJavaScriptで作り込むなど、様々なカスタマイズが可能な点をアピールした。最後に同社が開発したkintoneデヂエ化プラグインの無償提供についても言及し、会場を盛り上げた。

株式会社ソウルウェア 小林 裕輝氏

株式会社ソウルウェア 小林 裕輝氏

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kintoneの画面をカスタマイズさせたら日本一と名高い“ピンポン小林”こと株式会社ソウルウェアの小林 裕輝氏は、エンジニアの視点から「だれでも手軽に、簡単にアプリを作れる」kintoneを、もっと簡単にできるのではと試行を重ねている。具体的には“同じ内容の入力を減らす””繰り返しの作業を減らす”工夫によって、効率化を目指しているという。具体的な例として、関連レコードの登録を簡単にするため、参照元のアプリ内で画面遷移せずに登録できるカスタマイズ事例や、サイボウズガルーン内で入力したスケジュールを引っ張ってくるカスタマイズ事例、マウスだけでドラッグ&ドロップして情報が更新できる事例など、実際の画面を動かしながら詳しく解説した小林氏。シンプルながら効率化に寄与するカスタマイズが可能なことをアピールした。

M-SOLUTIONS株式会社 取締役 植草 学氏

M-SOLUTIONS株式会社
取締役
植草 学氏

kintoneによる大規模システム開発を数多く手掛けているM-SOLUTIONS株式会社の植草 学氏が掲げる「ファストSI」。“うまい、速い、お得”なファストフードのように速く作って価値を提供することを念頭に、スピーディで柔軟なスパイラルアップ型の開発が同社の強みとなっている。このファストSIの中核に据えられたkintoneによる4つの事例を短い時間の中で披露した植草氏。アプリ改修をユーザー側で行うことも視野に入れつつ、わずか2週間で回線申し込みフォームを作成した事例や、kintone開発の手法をレクチャーしながらユーザーと折半でシステム開発を実施した事例、基幹システムの開発だけでなくプロジェクト管理のツールとしてもkintoneを活用し、ユーザー教育の一環として触れる機会を多く持たせたシステム開発事例などを紹介。kintoneとロボットのPepperを連携させるIoT事例なども紹介され、多くの参加者が熱心に聞き入っていた。

R3 institute マネージャー 金春 利幸氏

R3 institute
マネージャー
金春 利幸氏

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Amazon Web Servicesのユーザーグループで全国事務局長を、kintone Caféでは運営事務局の立ち上げメンバーとしても活躍しているR3 instituteの金春 利幸氏。「ものすごいスピードでのシステム構築が魅力だからこそ、カスタマイズは最小限に」というkintone開発に対する金春氏の考え方に沿った事例が紹介された。kintone上のアクションをチャットツール「slack」へ通知する事例や、同社が手掛ける「ハイスピードSI」と呼ばれるサービスを利用することで、たった4時間で基本機能を作った基幹システム周辺業務のサポート開発事例などだ。そして、事例を通じて金春氏がお勧めするのが「基幹システムをシンプルにしておき、周辺業務をkintoneで作って連携させる」ことだと解説。他にも、Talendと呼ばれるオープンソースのデータ連携ツールに対するkintoneアダプタをhive開催の朝から無料公開を始めたことを披露、会場から大きな拍手が沸き起こっていた。

株式会社ジョイゾー 山下 竜氏

株式会社ジョイゾー
山下 竜氏

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kintone界隈でIoTについて語る人物と言えば、IoTとグループウェアとの連携を事業検討している過程でkintoneの魅力にはまり、結果として“kintone転職”した株式会社ジョイゾーの山下 竜氏だ。山下氏が語ったのは、レタスの水耕栽培における温度や湿度情報をkintoneに収集してノウハウを蓄積し、kintoneに備わっているコミュニケーションやプロセス管理などの機能を活用、適切なタイミングで提携農家に対して指示するといった活用事例だ。ポイントとしては、データをやみくもにkintoneに投入するのではなく、ストリームデータを一時処理するためにクラウドサービスを介在させることだと山下氏。最適な仕組み作りについてはご相談いただきたいと山下氏は最後にアピールした。

サイボウズスタートアップス株式会社 取締役 最高技術責任者 落合 雄一氏

サイボウズスタートアップス株式会社
取締役 最高技術責任者
落合 雄一氏

kintoneの開発を支援するためのコミュニティサイト「cybozu.com developer network」にてAPIの活用相談があれば積極的にコメントしているのがサイボウズスタートアップス株式会社の落合 雄一氏だ。落合氏は自社で活用している契約管理アプリ事例を紹介し、「顧客マスターアプリや製品マスターアプリからのルックアップ、この2つがあれば契約管理アプリを作ることができます」とそのポイントを披露。また、同社が提供するクラウド帳票サービス「プリントクリエイター」やkitnone上に蓄積された情報をバックアップする「kBackup」についても触れ、自社サービスの利用シーンを紹介した。

ICTコミュニケーションズ株式会社 コンテンツビジネス事業部長 渋谷 雄大氏

ICTコミュニケーションズ株式会社
コンテンツビジネス事業部長
渋谷 雄大氏

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自身の会社とサイボウズという2つの職場を行き来する“パラレルワーク”というスタイルで活躍するICTコミュニケーションズ株式会社の渋谷 雄大氏が登場。これまでの話題とは異なり、ITツールと導入トレーニングの重要性について語った。同社が提供するトレーニング「kintone university」などについて触れつつ、実際に身振り手振りで画面を動かしながらIT導入の際に重要なキーワード「依存度」を高めていくことの重要性を説いた。外部のトレーニングや社内の勉強会を通じて“がっつり触ってもらう”ことで、現場から活用アイデアが湧き出てくるものだと渋谷氏。また、チーム全体を巻き込むことが成功の秘訣だと語ってくれた。

kintone hive終了後には、参加者や登壇者を交えた懇親会が開催されました。サイバーエージェント鹿倉氏による乾杯の発声をきっかけに、ユーザー同士の交流がスタート。テーブルを囲んで和やかな雰囲気で談笑している傍らで、自社の課題について真剣に相談する参加者も。登壇者の周りに参加者が集まるシーンもあり、kitnone活用をもっと積極的に行っていきたいというユーザーの熱い姿勢を垣間見ることができました。懇親会の最後に次回の登壇希望者を会場から募ったところ、なんと複数のユーザーが名乗りをあげ、そのうちの1社の方に締めの挨拶をいただくことに。次回の盛り上がりも期待しつつ、第一回目となるkintone hiveは幕を閉じました。

懇親会風景